「屋久島は35日雨が降る」と言われますが、私が行った日ももちろん雨でした。
でも、その雨こそが屋久島の魅力だと、現地のガイドさんが教えてくれました。

東京から鹿児島まで飛行機で約2時間。そこから高速船で屋久島・宮之浦港へ。船が近づくと、雲に包まれた山々が現れ、神秘的な雰囲気。港に着くと、すでに地面は濡れていて、空気はしっとりと湿っています。
宿は宮之浦港から車で10分の温泉民宿「森の音」。女将さんは元教師で、「屋久島の森は、喋らない先生よ」と笑います。

翌朝、いよいよ縄文杉を目指してトレッキングに出発。所要時間は片道約4時間。初心者には少しハードですが、事前にトレーニングをして臨みました。装備はレインウェア、防水ブーツ、ストック。ガイドの田中さんによると、「雨の屋久島こそが本物。乾いていると、森の命が感じられない」とのこと。
登山口の荒川登山口から歩き始めると、すぐに苔むした森の中へ。木々はすべて緑に覆われ、地面も岩も、まるで絨毯のように柔らかい苔で包まれています。雨粒が葉っぱから滴り落ちる音、川のせせらぎ、鳥のさえずり——五感が研ぎ澄まされていくのを感じます。
途中、白谷雲水峡の「もののけの森」を通過。スタジオジブリの『もののけ姫』のモデルになった場所で、巨木が天に向かって伸びており、まさに神々しい。雨の中、木霊する風の音に、思わず手を合わせてしまいました。
昼食は持参のおにぎり。木の根元に座って食べると、味がいつもより濃く感じられます。田中さんが「屋久島の水はミネラル豊富だから、お米もおいしく炊けるんだよ」と教えてくれました。
そして、ついに縄文杉に到着。樹齢7200年とも言われるその巨木は、想像を超える存在感でした。幹の歪み、苔の厚さ、そして何より「静けさ」。周囲の観光客も、自然と声を潜め、ただ見つめるだけ。

私はその前で10分ほど座り込みました。
「あなたは何を見てきたの?」「これからもここで生き続けるの?」
答えはありませんでしたが、心の中に何かが降りてきたような気がしました。
帰り道、雨がさらに強くなりましたが、不思議と嫌な気分になりませんでした。むしろ、雨が森を守っているのだと実感しました。
夜は民宿で地魚の刺身と、屋久島産の芋焼酎。女将さんが「縄文杉に会えた人は、運が開けるって言われてるのよ」と言って、温かいおでんを出してくれました。
翌朝、早起きして再び白谷雲水峡へ。朝靄の中の森は、さらに幻想的でした。木々の間から差し込む光が、まるで祝福されているよう。
屋久島は、“見る”のではなく、“感じる”旅です。
雨の中を歩くことで、自分の中の“余計なもの”が洗い流されていく——そんな気がしました。
旅のヒント:レインウェア+防水ブーツは必須!トレッキングは体力勝負なので、事前準備を。縄文杉コースは往復8時間。水分・行動食を忘れずに。


















0 Comments